ダムの形は四つの型で見分けると楽しくなる
2026-11-03
ダムを見に行くとき、ただ「大きい」と眺めるだけでも十分に圧倒されますが、形の違いを知っていると、見どころが一気に増えます。ここでは、代表的なダムの型を、見た目の特徴とともに整理します。
重力式コンクリートダム
日本で多く見られる型で、コンクリートの自重で水の力を受け止める構造です。断面を横から見ると、三角形に近い形をしています。上流側がほぼ垂直で、下流側が斜めに広がっているのが特徴です。正面から見ると、壁のように真っ直ぐに谷をふさいでいる姿が印象的です。
見学の際は、下流側から見上げると、段のようになった表面や、水を流すための放流設備が、よく分かります。
アーチ式コンクリートダム
上流側に向かって弧を描くように作られたダムで、水の力をアーチの形で両側の岩盤に伝えます。谷の幅が狭く、両側の岩盤が堅い場所に作られることが多いと言われています。
重力式に比べて、コンクリートの量を減らせる点が特徴です。曲線の美しさが目を引くため、写真に収める人も多くいます。
ロックフィルダム
岩や石を積み上げて作る型で、中央に水を通しにくい部分を設け、周りを岩で固めた構造です。表面には、大きな石が見えることが多く、コンクリートのダムとは印象が違います。
地盤が柔らかい場所や、材料となる岩が近くで手に入る場所に作られることがあります。台形に近い形で、緩やかな斜面を描いているのが目印です。
アースフィルダム
土を主な材料として作る型で、古くから見られる形式です。緩やかな斜面が草に覆われていることが多く、遠くから見ると、人工的な構造物というより、小高い丘のように見えます。
農業用のため池も、この型に近い構造が多く、身近な場所でも見つけられます。
型を見分けるときのコツ
見分けるときは、まず次の点を確認します。
- 表面の素材が、コンクリートか、岩か、土か
- 上流側が、曲線を描いているか、まっすぐか
- 全体の傾斜が、急か、緩やかか
この三つだけでも、おおまかな型の判断ができます。現地に案内板があれば、型の名前が書かれていることもあるので、答え合わせのつもりで読んでみると、理解が深まります。
谷の形と型の選ばれ方
ダムの型は、作られる場所の地形や地質、手に入る材料によって選ばれると言われています。谷が狭く、両側が硬い岩盤であれば、アーチ式が選ばれやすくなります。谷が広く、岩盤がしっかりしていれば、重力式が向いています。周りに土や岩が豊富にある場所なら、フィルダムが考えられます。
つまり、ダムの形は、その場所の自然条件を映したものでもあります。現地で型を見たときに、「なぜこの形なのか」と考えながら、周囲の山や谷を眺めると、地形との関係が見えてきます。
写真で見分けるときの目印
写真や映像で見分ける場合は、ダムの上流側と下流側のどちらが写っているかに注意します。下流側から見た写真では、アーチ式は弧の向きが分かりにくいことがあります。一方、ダム湖側から見た写真なら、アーチの湾曲がはっきり分かります。
また、ロックフィルダムは、表面に石が敷き詰められた斜面が写真でも分かりやすく、アースフィルダムは草で覆われた緩やかな丘のように見えます。型ごとの特徴をいくつか頭に入れておけば、初めて見るダムでも、おおよその見当がつけられます。
複合型という例もある
実際のダムには、複数の型を組み合わせたものもあります。中央部がコンクリートで、両端が土や岩で構成されているものがあり、こうしたダムは、一つの型には当てはまりません。見分けようとして迷ったときは、案内板の説明を確認して、どの部分がどの型なのかを、現地で確かめてみてください。
型ごとの違いを楽しむ
同じダムでも、天気や季節、時間帯によって表情が変わります。型の違いを意識しながら、複数のダムを見比べると、それぞれの個性がよく分かってきます。